【心身養生を考える からだメンタルラボblog】

身体と心へのアプローチを実践しているからだメンタルラボの活動情報や、鹿児島市での活動を地域支援活動を行うこだちの活動情報、身体と心のつながりについてのお話などを掲載しています。

子どもの発達への好奇心と遊びの重要性【脳みそラクラクセラピー】

今回は

前回の愛着の問題についての

おすすめ書籍としてご紹介した本の著者である、

臨床心理士であり、

言語聴覚士でもある愛甲修子さん

花風社から出されているもう一冊の本をご紹介。

 

この本は子ども達が発達していくための

好奇心と遊びの重要性を分かりやすく説明する良書です。

 

福祉や教育、療育など、

子ども達に接する全ての大人たちが

関わり方の基本として

知っておいてほしい本だと思います。

 

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 目次

 

著者についての紹介は、

前回の愛着障害は治りますか?の記事

と重複しますので、こちらでは省略します。

 

脳みそラクラクセラピー 発達凸凹の人の資質を見つけ開花させる

 

まず本書の内容を見てみましょう。

目次

第1章 治るって?

第2章 脳みそラクラクセラピーの現場から

第3章 「過敏体質」+「こびりつき脳」という体質への配慮を発達につなげる

第4章 資質を見つけ、開花させる

第5章 弱みを強みに変えていく

第6章 もう一度考えてみる。「治るって?」

第7章 社会(みんな)の中で生きるには

第8章 好奇心と遊びで、社会(みんな)の中で生きる人になる

あとがき

内容

第1章では

愛甲さんご自身がセラピストになった経緯。

 

第2章では

盲、聾、知的障害を持つ方に対した実践の例を基に、

どのような関わりを行っているのかが紹介されます。

 

第3章では、

発達障害の方の脳の特性を

「過敏体質」+「こびりつき脳」と捉え、

日々の様々な問題への捉え方のヒント、

好奇心を重視するなど、

様々な対処のポイントが語られます。

 

第4章では、

資質と好奇心の関係と、

その育て方を確認。

 

第5章では、

症状は自己治療」という考え方を基に、

問題行動と言われるような短所を活かし、

長所に変えていくような見方が紹介されます。

 

第6章では、

これまでの話を基に「治る」という意味の再確認。

 

第7章では、

社会で暮らせるようになるために大切な、

愛着と社会ルールの関係が紹介されます。

 

第8章では、

いくつかの事例を参考に、

反社会的と言われる振る舞いと遊びの関係。

遊びの発達が社会の適応にいかに重要であるかが語られます。

 

以上のような内容で、

非常に幅広く、

発達障害の人々が

その才能を開花させていくために出来る工夫の紹介とともに、

子ども達にとっての好奇心と遊びの重要性を説明しています。

 

元々のテーマは

発達凸凹の人の資質の開花となってはいますが、

この本の中で紹介されているテーマは、

全ての子ども達の健全な成長に関わるはずです。

以下で、私が読んで特に重要と感じた点を紹介します。

 

感想

好奇心から見る資質と子育ての基本

本書の中では、

その子の資質を見つけるポイントとして、

「その子が何を楽しんでいるか」  

という点が挙げられます。

 

これはつまり、

その子の好奇心は何に対して発揮されるのか

ということです。

 

非常にシンプルなことですが、

今の時代、多くの情報が溢れており、

日常生活の中では

その情報に振り回されて、

情報を基準に子どもを見てしまうことも少なくありません。

 

また、スマホなどに気を取られて、

子どもが遊びに集中している間は、

やっと自分の時間と観察をしないことも普通になっています。

 

そうすること自体が息抜きとして、

必要な場合もあるはずですが、

そういった状態が普通になっていると、

その子が好奇心を発揮している物が何か?

と考えても見当もつかないという

親御さんもいたりします。

 

日常の中で、毎日少しだけでも、

この子が今楽しんでいるものは何だろう?

何に熱中しているのだろう?

ということを意識して見てみる時間を持つ。

 

そして、

その子がそれに時間を費やすことが

できるようにしてあげる。

 

エジソンやアインシュタインなどの

天才と言われる人たちや、

灘高や東大など、超進学校と言われるような学校に

苦労なく通えていると言うような人たちは、

自分の好奇心に従えている人が多いように思います。

 

その子がその子らしさを発揮できるようにする。

これがやはり子育ての基本といえることではないでしょうか。

 

遊びの発達における意義

本書の中では、

本人が好奇心を持って取り組む遊びの価値が

しっかりと説明されています。

 

発達障害や

様々な問題のある子ども達への支援を行っていると、

親御さんから、

「遊んでいるだけじゃないか」と批判を受けて

支援者が揺らいでしまうことが

しばしばあります。

 

その際に、

この本で書かれているようなことを知っていれば、

  • 今自分はどこを目指しているのか
  • この子はどういった地点にいるのか

といったことを確認する羅針盤となります。

 

そうして、

その目的や現在地を説明できることは

親御さんとの信頼関係を築く上でも必要なことです。 

 

問題行動は悪いものとは限らない

同じく本書の中で、

「症状は自己治療」

という考え方が紹介されています。

 

症状はつまり周りから見て困る行動なわけであり、

本人も困っていたとしても、

そこはなかなか理解してもらえません。

そして、辞めさせようされることで、

他の問題行動へとつながってしまうこともあります。

 

この視点を持つことで、

関わる人々は今その子が出している問題行動の中に、

ポジティブな意味を見出しやすくなるはずです。

 

そして、その視点があることで、

その行動をより良い方向に向けかえていく

ヒントを見つけやすくなっていきます。

 

 

その他

早期教育と遊び

この本を読み、

遊びがいかに子どもにとって重要かを知り、

思い出したのは早期教育の問題でした。

 

早期教育については、

とても良いという意見もあれば、

やるべきではないという意見もあります。

 

これは早期教育だけが良い悪いというものではなく、

それをどのような形で取り入れるのか

というのが非常に重要ということではないかと思うのです。

 

そのポイントが、

早期教育がその子にとって

「好奇心を刺激する遊び」になっているか。

ではないでしょうか?

 

早期教育として取り入れられた教材であっても、

その子にとっては楽しく、好奇心が刺激されるものであれば、

脳は多くの刺激を受け、発達していくはずです。

 

しかし、これが本人の意欲や好奇心を無視したものであれば、

それによってその子はどんどん追い詰められ、

様々な問題を呈するようになっていくのでしょう。

 

早期教育が遊びになるかは、

それまでの親子の関係性もあるでしょうし、

その子の根本的な資質の向き不向きもあるかと思います。

 

早期教育を取り入れたいと考える時には、 

その子が好奇心を示すのか、

イキイキした表情を見せるのか、

それを基準にしていく、

そういった考え方が

この先もっと広がっていって欲しいと感じます。

 

読んでほしい人

この本はタイトルの通り、

発達凸凹に関わる支援者などには

ぜひ読んでほしい一冊です。

 

ただ、発達の中での

好奇心や遊びの重要性については、

ぜひ発達凸凹でない子ども達に関わる人々にも、

知ってほしいものだと感じます。

 

そうして、子ども達が安心して遊びに熱中できる。

そういった環境が増えていってくれたらと思います。

 

 

 
 
以前紹介した
愛着障害は治りますか?の記事はコチラ