【心身の発達とセルフケアを考えるからだメンタルラボblog】

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【発達障害に多い不眠】眠れる身体の為に家庭でできる対処法!

発達障害のあるお子さんについての相談を聞いていると、

よく聞かれることの一つが、

夜になってもなかなか寝付けず、

1時間や2時間かかってしまう。

といった不眠についての相談です。

 

それをきっかけに

睡眠薬を利用するようになるケースもしばしばありますが、

薬を飲む前に家庭で出来る工夫によって、

睡眠の問題は解消出来ることも多いです。

 

今回の記事では、 

発達障害の子の不眠はなぜ起きるのか?

家庭で出来る簡単な対策について紹介をしていきます

 

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 目次

 

 

発達障害の不眠の問題

多くの発達障害者が抱える不眠問題

先程も書いた通り、

発達障害で睡眠の問題を抱えているケースというのは少なくありません。

ナショナルジオグラフィックでもこういった記事が書かれ、

発達障害のほぼ半数に睡眠の問題があるとされています。

natgeo.nikkeibp.co.jp

 

発達障害のある方の相談の中では、

大人でも不眠の傾向を抱えている方は少なくありませんし、

そういった人は小さい頃から

なかなか寝付けなかったということも少なくありません。

 

この睡眠の問題について私は、

発達障害のある大人や子どもの情緒が安定したり、

能力の発達を促していくために、

最初に手を付けるべきポイントの一つだと考えています。

 

そのため、なるべく幼少期のうちに

しっかりと眠れるようになっていくよう工夫することが望ましいです。

 

不眠を解消するために大事なことは2つあります。

  1. 身体の緊張を緩め、眠れる身体にする
  2. しっかりと全身を動かす機会を持ち、エネルギーを発散する

 

どうしてこの二点が大事なのか。

その理由は発達障害のある人々は身体に特徴があり、

それによって不眠になっていることが多いからです。

 

発達障害の人々の身体の特徴

まずはその身体の特徴について説明します。

コンディショニング講座@大阪でも講師をしてくださっている

栗本啓司先生の著書である

“芋づる式に治そう! 発達凸凹の人が今日からできること”の中で、

発達障害といわれる人々は

  • 身体から力を抜くのが苦手
  • あるいは、低緊張でふにゃふにゃした感じで、力を入れるのが苦手 

といった特徴があることが指摘されています。

 

人間の身体というのは、

必要に応じて、一日の中で力を入れたり、

抜いたりがその場その場で自然とできるものですが、

それが無意識に、自然とできないわけです。

 
私が現場で見る子どもたちも、

肩に力が入っていたり、表情が硬かったり、

緊張しすぎているように感じる子が多いです。

逆にだらっと緩みすぎてしまっている子も見かけますが、

いわゆる定型発達の子どもや大人よりも

緊張しすぎていたり、緩みすぎていたり、

どちらかに極端であることが多いです。

 

緊張と睡眠の関係性

緊張と弛緩のバランスが偏っているといろいろな問題が生じます。

その一つとして発達障害で顕著なのが睡眠の問題なのです。 

 

どういうことかと言うと、

人の身体は緊張が緩むことで眠りに入る状態になります。

ところが夜、布団に入っても緊張が続いているとどうなるでしょう?

 

こんな体験をしたことはないでしょうか?

翌日のことが心配で眠れない時に、

「眠らないと」と焦る。

「眠らないと」と思えば思うほど

ドンドン眠れなくなりますよね。

 

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これは気がかりがある時点で身体は緊張しているのに、

さらに「眠らないと」と焦ることで更に緊張が増して、

身体が更に緊張することでどんどん目は冴えてくるという

悪循環に陥っているわけです。

経験がある人も多いのではないでしょうか?


先程も説明したとおり、

発達障害のある子どもたちは緊張の強い子が多いです。

 

背中や脚、肩などを触ってあげてみてください。

固くなっている部分がたくさんあります。

 

そんな状態では、

布団に入っても眠気がこない。

眠気がこないから寝ずに遊び始めたり、

おとなしくはしていても、

眠れていないから朝起きても不調。

それが不眠の原因だったりするわけです。

  

睡眠は発達障害にどう影響する?


人間にとって眠ることの役割はなんでしょう?

まず、その日の疲労をとる効果がありますね。

また、深い睡眠中には脳の老廃物が除去されていることや、

睡眠中に脳の神経がクールダウンされ、

効率的な記憶の定着を助けていることも明らかになっています。

 

このような役割の睡眠がうまく取れないということは、

発達途中の脳に悪い影響が及びますし、

学習が定着しないといった状態に繋がることもあるでしょう

 

そして、不眠の状態が長引けば、

前回の記事で述べていたような、

後天的な発達途中での発達障害といわれる

脳の状態となっていく可能性も否定できません。

 

 

こういった難しい話を抜きにしても、

シンプルに寝不足が続いているとイライラしますよね。

私は1日寝不足なだけでちょっとイライラしてしまいます(汗

 

発達障害の子どもたちが睡眠が十分に取れていないとすると、

発達障害の子どものイライラしやすさは、

私たち大人の徹夜明けの状態と似た感じかもしれません。

 

このような「身体の緊張が緩まなくてうまく眠れない」

といった状態一つがあるだけでも、

学習不振やイライラといった不調の原因となり、

本来、持っている力を発揮できない状態に陥る可能性があります。

 

このような理由から、

まずは身体の緊張がうまく緩み、眠れるようにお手伝いをしてあげることが、

発達を促す第一歩として大切になるのです。

 

ちなみに、睡眠薬を使用して眠れるようにすると、

身体は緊張したままであるため、

眠っていても疲労は取れないということも起きます。 

 

身体の緊張を緩め、眠れる身体にするために出来ること 


不眠を解消するために身体緩めるのに大事なことは、

本人や自分にとって気持ちいい刺激を与えるということです。

 

まずどの年齢にも出来る工夫として、

先程、身体を触ってみることを勧めましたが、

その中で見つかった身体の固い部分に

優しく手を当ててあげてください。

 

揉んだり押したりする必要はなく、

ふわっと優しく手を当ててあげているだけで、

段々と柔らかくなったり、

固いところが動く感じがしてくることがあります。

 

毎日少しずつ触れることを継続してあげると、

段々と身体の感じが変わっていきます。 

 

 

乳児のための身体緩めの方法 

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操体法という身体緩めの方法を開発した

橋本敬三氏は“誰にもわかる操体法の医学”という本の中で、

小さい子には脇腹を指先でくすぐってあげることを勧めています。

赤坊は(幼児も)その刺激に反応して手足をキクキク動かして自由に運動系を調節する。

と、気持ちいい刺激を与えると自然と反応して身体を整えることを述べています。

 

脇腹だけでは反応が乏しい場合は、

優しく声をかけながら、

色々な部分をくすぐってリアクションの良いところを探ってみてください。

 

療育の現場での実感として、

くすぐりに反応しなかった子が反応するようになると、

  • 周りへの興味が増す
  • 発語が増える
  • 視線が合うようになる

など、出来ることが増えてくるといった変化が見られます。

 

幼児のための身体緩めの方法

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幼児さんにもくすぐりが効果的なこともありますが、

おんぶをしてゆらゆらしてあげたり、

抱っこして高い高いやぐるぐる回してあげるなど、

本人が楽しそうに受け入れられる刺激は効果的です。

 

おんぶや抱っこが受け入れられない場合などは、

シーツブランコをしたり、

お風呂で背中を支えてプカプカ浮かせてあげるなど、

身体を安心して預ける体験をさせてあげると、

段々と身体を預けることが出来るようになっていきます。

 

小学生以上の子どもたちや大人に

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身体が大きくなってくると、

なかなか抱っこやおんぶは難しい事が多く、

くすぐりも嫌がる子も出てきます。

 

そういった年齢の子には

“芋づる式に治そう!”で紹介されている金魚体操

相談に来られた親御さんに紹介することが多いものの一つです。

「金魚体操」で検索すると一人でやるやり方が紹介されていたりもしますね。

matome.naver.jp

 

ポイントとしては、

背骨をゆらゆらさせて緩めてあげることです。

 

なので、仰向けで寝転んでもらって、

どちらかの足先を持って優しくゆらゆらと左右に振ってあげる。

これだけでも全身が揺れます。

 

寝転んでもらった背中に手を当てて

ゆらゆらと左右に動かしてあげるのでも、

「気持ちいい」という方もいたりするので、

本人が気持ちいいという形で背骨をゆらゆらさせてあげてください。

 

小学生で緊張が強く不眠があるお子さんなどは、

これをしてもらうだけで、

「その日からすぐ眠るようになった」ということがしばしばあります

 

かんしゃくが起きなくなったという効果も報告されたことがありますので、

是非一度お試しあれ!


お子さんへの金魚体操以外にも、

他のいろいろな緩め方については、

“芋づる式に治そう!”をはじめとした、

栗本先生の書籍を参考にされることがオススメです。

 
 
ただ、身体を緩めるだけではなかなか寝付かないお子さんは、
エネルギーの発散が出来ていないこともあります。

しっかりと全身を動かす機会を持ち、エネルギーを発散する

睡眠と疲労

不眠の解消には、

一日を通してしっかりと疲れていることも大切です

 

身体の緩みと適度な疲れ。

その両方があってこその良い睡眠です。

 

ただ、発達障害のある子どもたちなどは、

身体の使い方に偏りがあることで、

疲れが偏り、

疲れているけど眠れないという状態になっていることもあります。

 

その疲れを取る手段としては、

基本的には先程紹介した緊張を緩める方法が役立ちます

 

きちんと疲労するためには

では、偏らずに疲労するためにはどうすればいいのか?

その答えは、しっかりと全身を使う運動を行うことです。

 

例えば、不眠の子どもたちは歩行がフラフラしている子も少なくありません

そういった子どもたちは普通に歩いたり、

走ったりといった活動だけでは疲労が偏りやすくなります。 

 

ハイハイをしたり、

ゴロゴロと横に転がってみたり、

寝転んで手足をブルブルしたり、

寝たまま風船を蹴ってみたり、

雑巾がけで競争するといった活動をしていきましょう。

 

これは立つ以前の姿勢で出来る

色々な遊びや運動をするということです。

 

その子が楽しんで行うものをしっかりとやってあげると、

全身がしっかりと使えるようになり、

疲労の偏りもバランスが取れるようになっていきます。

 

まとめ

不眠の問題があるお子さんに対して、

睡眠薬の使用を検討する前には、

  1. 体の固い部分に優しく手を当てて柔らかくなるのを待つ
  2. 背骨を揺らすイメージで気持ちよく身体をゆらゆらしてあげる
  3. ハイハイや寝た姿勢での遊びを取り入れ、全身を疲れさせる

といった3点を大事にしながら、

試行錯誤して、

お子さんにとって気持ちいい感覚を増やしてみてください

 

段々と身体が緩んだり、

預けられるようになってくると睡眠が変わっていきます。

 

そして、これは発達障害だけに限りませんが、 

特に不安が強い子どもたちは、

強く身体が緊張していることも多いです。

不安と緊張の問題については、

コチラの記事で紹介していますので、

ご興味ある方はご一読ください。

www.karadamental-brog.com