【心身養生を考える からだメンタルラボblog】

身体と心へのアプローチを実践しているからだメンタルラボの活動情報や、鹿児島市での活動を地域支援活動を行うこだちの活動情報、身体と心のつながりについてのお話などを掲載しています。

支援の利用と卒業~「どこでも治そう発達障害」創立記念講演会に参加して~

3月1日(日)に

福岡にて開催された

「どこでも治そう発達障害」創立記念講演会

参加してきました。

 

花風社代表取締役の浅見淳子さんのお話と、

発達障害当事者でもありながら、

現在は元気に一般就労をされている

藤家寛子さんからのお話を聴き、

発達障害の未来への希望を感じることが出来ました。

 

 目次

 

発達障害は治るのか?

今回、お二人のお話を聴いて、

私の中で改めて実感出来た一つがこの点です。

 

特に藤家さんのお話の中で、

「(自閉っぽい)言葉の捉え方は今も残っている。

 けれども、恐怖感や体の不調はなくなった」(要約)

といった内容がありました。

 

世の中を見てみると、

普通に生活をしているけれど、

ちょっと天然っぽい、

時々ちぐはぐなことをやらかす。

そういった人はしばしば見かけます。

 

そういった人たちは見方によっては、

発達障害っぽいと言えることもあります。

が、

社会で受け入れられていないかと言うと、

そうではなく、

周りからはそのズレる部分を

愛嬌と思われていることも多く、

現に藤家さんはそのように認識をされているそうでした。

 

そういった人たちの中には、

きっと、診断がつくことなく、

出来ることを増やしていった結果、

自然と社会適応を果たしていった

発達障害の方もおられるのだと思います。

 

何を優先して認知して処理するかという

脳の処理の優先順位自体はあまり変わらないとしても、

脳の機能が高まってくれば、

余計な不安感や不調などは減ってくる。

 

すると、

物事を字義通りに捉えやすいといった癖はあっても、

その癖も愛嬌にすらなり、

社会には適応していくことが出来る。

 

精神疾患の診断においては、

「本人が社会生活に困っているのか」

という点が重要なポイントになるというのは、

よく言われることです。

 

つまり

社会に適応出来るようになってくれば、

診断が不要になる。

 

遺伝子検査などに

明確な基準があって診断がつくのであれば、

「遺伝子が変わっていないから発達障害は治ってない」と

言えることもあるかもですが、そういうわけではない。

 

藤家さんのように

社会に適応が出来ており、

診断が不要な状態になっている人もいる。

 

この状況を見れば、

「発達障害が治る」ことが

現実にあるのは間違いない

といえるのではないでしょうか。

 

発達障害的な思考の癖に対して、

その特徴をわかって、

理解しやすい言葉かけをすること、

それとともに身体へのアプローチなどを通して、

不安感や体の不調が軽減されてくれば、

言葉かけへの工夫はあまり必要なくなる。

 

その感じはこれまで関わってきた

発達障害傾向のある子どもたちに対して、

感じていたものと一致しました。

主体的に支援を利用するということについて

講演の中で、

浅見さんは発達障害者支援法というものは、

疫病に対して大仏を作って祈りを捧げるのと同じだと語り、

藤家さんは支援を利用した体験から、

そこから抜け出す大変さを語られました。

 

それらのお話をお聞きしながら、

いかに支援を主体的に利用できるのか

ということが非常に重要なのだろうと感じました。

 

聴いたことのある話の中では、

療育を利用する親御さんの中には

療育先に何でもお任せして、

子どもに日常のちょっとした注意をするにも、

療育先に意見を伺ったり、

代わりに言ってもらわないと不安。

そんな状態になっている親御さんがいるそうです。

 

頼り切っていなくとも、

子どもたちが発達してきて、

もう次のステージに移ってもいいだろう

と感じる場合でも、

療育を辞めることを躊躇う親御さんも多いそうです。

 

そうなっていく背景には、

おそらく突然つけられた診断、

園や学校、療育先で見せつけられる他の子との差、

支援者も含む周囲の大人から受けるダメ出しや指導、

そういったものが積み重なって、

どんどん子どもに対して出来ることがない。

私が試行錯誤してもどうにもならない。

と無力感を覚えていった背景があるのかもしれません。

  

 

もちろん支援自体はうまく使うことで

生活の助けとなることもあるはずですが、

もう大丈夫なはずなのに

支援を卒業していくことができず、

むしろ力を失っていく。

 

そういった悲劇を防ぐためにも、

主体性を損なわないための支援というものについて、

今後も考えていきたいと感じました。

 

 

今回の講演会でのお話は

浅見淳子さんの著書「発達障害治るが勝ち!」

藤家寛子さんの著書「30歳からの社会人デビュー」

の内容に近いものでした。

ご興味のある方は一度ご覧になってみてください。