【心身の発達とセルフケアを考えるからだメンタルラボblog】

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発達障害は治らない?発達障害の脳、可塑性を活かす家庭での工夫

かなり色々な場所で

耳にすることが増えてきた発達障害という言葉。

最近は芸能人などでも

自分がそうであると表明している人もおり、

この5年~10年で

だいぶメジャーなものになってきていますね。

 

心理に関わる仕事の中でも名前が出ることは

年々増えていっている印象があります。

 

増えたからこそ、

子育てをしていると、

「うちの子は発達障害かも…」と不安を抱く

親御さんも増えています。

 

「発達障害かも」と考えた時に、

親心としてまず思うことは「治るのだろうか?」、

「良くするためにできることはないのだろうか?」

といったことではないでしょうか? 

 

この当たり前の疑問への支援者側の感覚は、

「良くなりうる」と思っている人から

「治ることはない」 と思い続けている人まで、

かなり差があるのが実際の現状だと感じています。

 

私の臨床現場での実感としては、

「発達障害の子が普通に生活を出来る状態になる可能性は間違いなくある」

と感じています。

 

特に幼児期の子どもたちは脳の可塑性も高く、

発達の伸びしろはかなりあります。

 

が、それ以外にも、

これまで関わってきた中では小学生や大人になっていても

困りごとがほとんど解消したケースも見られています。

 

 

今回の記事では、

これまでの研究でかなり色々なことがわかってきている、

発達障害のある子どもたちの脳で起きていることをまず紹介します。

 

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そして、私が現場で行っている支援を基に、

家庭で出来る発達を促す工夫についても紹介していきます。

 

「治らない」と言われても、

やっていく中で変わっていく部分があることは間違いありません

発達は日々の積み重ねです。

毎日少しずつ積み上げていきましょう。 

 目次

発達障害とは?

発達障害とは、

いわゆる自閉症、アスペルガー症候群、

ADHD(注意欠陥多動性障害)、LD(学習障害)、協調運動障害などを指します。

細かな症状などについては、

すでに色々なところでまとめられていますので、

説明は省略させていただきます。

 

ここでは、まず 2014年に出版されている

発達障害の原因と発症メカニズム”という本を参考に

発達障害とはどういった状態なのかを確認してみましょう。

  

 “発達障害の原因と発症メカニズム”

(著書:黒田洋一郎、木村・黒田純子)

この本は副題が「脳神経科学からみた予防、治療・療育の可能性」です。

名前の通り、脳科学の観点から、予防や治療の可能性を探る意欲的な一冊です。

個人的にこの本は発達障害の支援に関わる人は、

一度は目を通すべき本ではないかと思っています

  

内容としては多くの研究を引用して、

脳のシナプス結合の形成不全が

発達障害の原因であるということを説明しています。

2014年の本ですので、

今はさらに発達障害について

明らかになってきている情報も色々とありますが、

ひとまず概観するにはとても良い一冊です。

 

ただ専門的過ぎて、

親御さんが気軽に読むにはなかなかハードですので、

個人的に重要と感じた点を以下に要約していきます

 

発達障害の原因について

  • 哺乳類などの脳が高度に発達している動物に見られる機能や人間にしか見られない機能(読み書き計算)などは、遠くの脳の部位と遠くの脳の部位のシナプス(神経回路)結合が必要なため、元々繋がりにくかったり、脆弱な部分があったりと障害されやすく問題が出やすい。
  • 化学物質(農薬や薬など)が影響することでシナプス結合がうまく作られず、様々な機能に支障が出る。どこがうまく結合しないかは個人個人によって違うため、一人ひとり異なる症状が出るが、高次な機能は支障が出やすい。
  • 脳の発達の速度は、全体的に遅れても、ある時期にすべてが一様に早くなり追いつくときもあるし、一部が遅れているとその完成を待ってから次のステップに進むという場合もある。

 

つまり、様々な化学物質が

子どもの脳のシナプス結合の形成に悪影響を及ぼし、

様々な発達障害の症状が見られるようになってくるということですね。

この化学物質というのは、

栄養の不足なども化学物質に含まれるかと思います。

 

脳の中の遠い部分同士は繋がりにくいが、

それでも繋がる部分もあったりすることが、

発達の凸凹な状態を生み出していると聞くと、

子どもたちによって示す症状はバラバラだったり、

似ているところがあったりという千差万別な感じは納得出来る感じがしますね。

 

現場での実践の中で、 

発達のヌケを埋める体操や運動をしてもらうことで

大きく伸びる子がみられる現象は、

一部の完成が待たれていた部分を埋め、

脳の発達が次のステップに進んでいくのかと思います。 

発達障害の生じる時期について

  • 有効なシナプス結合が出来上がったかは、髄鞘化といわれる電気信号の速さを最大にするための働きが機能しているかを調べることでわかる。
  • この髄鞘化は生後まもなく小脳と中脳が髄鞘化され、3~4ヶ月頃、視神経から視覚中枢である後頭葉に向かう軸索の髄鞘化ができ、頭頂葉の皮質下にも及ぶ。体性感覚野の髄鞘化は出生時にはじまっており、完成するのは約二歳である。生後一年から二年で、視床、基底核、辺縁系の一部が髄鞘化される。大脳皮質は髄鞘化が遅いが、同じ大脳皮質の中でも、ヒトの高次連合機能をになう前頭葉と側頭葉では特に遅く、十歳以降でもつづく。
  • 胎児期だけではなく、乳児期、小児期でも《学習障害》はおこりうる。

 

脳のシナプス結合が行われている時期は、

かなり長い期間のようであり、

その期間中にシナプス結合が不完全になることはあるはずです。

 

 

虐待を受けた子は脳に変異が現れ、

発達障害のような症状を示すことを

杉山登志郎医師は指摘していますが、

この現象も発達過程で生じる発達障害の例の一つだと言えます。

 

つまり、育っていく環境の影響、

親子関係や特定の刺激の偏り、活動量、栄養バランスなど、

色々な要素の組み合わせにより、

発達障害といえる脳の状態が出来上がることは、

生まれつきなこともあれば、成長途上のこともあるわけです。

予防、治療の可能性について

  • 重度の発達障害であるクレチン症がヨード剤の服用により予防されるようになったように、農薬や化学物質を避けるなどの工夫を行うことで予防を行うことが出来る。
  • 脳には可塑性があり、特に子どもの脳は療育やリハビリテーションなどにより新たなシナプス結合を作り上げて、機能回復する力があることなどが示されています。

 先の段落で述べたように、

発達する過程で脳が発達障害のような症状を示す

状態像になっていく可能性はあるわけです。

 

ただ、脳には、特に子どもの脳は

可塑性(簡単に言えば回復する力、変わっていく力)が強くあり、

発達障害のような症状を示す状態から、

逆に発達していける可能性もあることが研究からも示されているそうです。

 

これは希望となる事実だと言えるかと思います。

ただ、そのためにはもちろん、

発達を促すための工夫や働きかけは重要となります。

 

そして、この本の中では、研究結果を概観した結果として明確に

昔はよく言われていた「発達障害は治らない」という見解は完全に誤りだったと言える。 

とも述べられているのが、非常に心強いところです。

 

興味を持たれた支援者の方などは一度、

読まれてみることをオススメします。

 

ただ、親御さんが読むにはややハードなところがありますので、

発達が心配と感じている親御さんが家庭で出来ることを知りたい場合は、

実際に自閉症を持つ息子さんと、

自閉症・知的障害を持つ息子さんを支援を利用せずに

社会で働けるよう育てられた体験をまとめた

支援者なくとも自閉っ子は育つ”がおすすめです。

 

 

近年、分かってきていること

発達障害から神経発達障害へ

上述の自閉症、アスペルガー症候群、

ADHD(注意欠陥多動性障害)、LD(学習障害)、協調運動障害などの発達障害は、

およそ6年前にアメリカ精神医学会が出版した

“DSM-5精神疾患の診断・統計マニュアル”で、

神経発達症/神経発達障害というグループにまとめられました。

 

神経の発達障害という捉え方

これは脳から全身に張り巡らされている神経系に発達の障害があるという意味です。

つまり、

神経を発達させることができれば症状が軽減したり、

良くなっていく可能性があるといえます。

 

そして、発達障害の神経を育てるアプローチは私の知る限りでは、

花風社という出版社が最も効果的な方法の模索を続けています。

 

その結果、ここ数年ほどで、

神経を育てるための身体アプローチを通して、

劇的な改善を見せたケースなども見られてきています。

  

支援した事例から

私が相談の中で身体アプローチを行い、

継続してもらったケースでは、

数週間~半年ほどで、

 

  • 学校の担任から「最近あの子空気が読めるんです」と言われるようになった
  • かんしゃくを起こして暴れることがなくなった
  • 字をきちんと枠内に書けるようになった
  • ドッジボールで「足手まとい」と言われなくなった
  • テストで5点ほどしか取れなかった子が60点取れるようになった

 など、色々なケースで変化が見られています。

 

神経発達障害という考え方について、

より詳しく知りたい方は、

花風社さんの

“NEURO~神経発達障害という突破口”

非常にわかりやすくまとめられていてオススメです。

 

 

 

さらに近年の研究

腸内細菌叢への働きかけが自閉症症状に効果があるという研究

発達障害や精神疾患への栄養の影響

運動が自閉症に効果があることなども明らかになってきています。

 

先程紹介した「花風社」でも、

発達障害を治すための情報を共有するために

「治そう発達障害.com」というサイトを立ち上げるそうです。

詳しくはこちら

 

今後は、更に発達障害に対して出来ることが

増えていく時代になっていると感じます。

自発性の重要性

運動の効果の研究は、マウスを対象としたものですが、

自発的な運動によりシナプス密度が増加することが明らかとなりました

この研究で述べられている“自発的な”運動という点は非常に重要だと思われます。

 

実際に支援していても、

親御さんも驚くほど劇的に改善するケースと、

少しずつしか伸びていかないケースというのはあります。

 そこに大きな影響を与えるのはこの点だと考えています。

 

行っている支援や周囲の関わりが、

本人が興味関心を持て、

楽しんで自発的にやれる活動となっているのか

 

親や周囲の「これをさせたい」よりも

本人の発達に合った「これをしたい」

という気持ちが大切にされているかは最も大切な発達を促す要因です。

 

もちろん、社会的にそぐわない振る舞いなどは、

しっかりNOを伝えてあげることは必要ですが、

その子が楽しそうに繰り返し、

出来た時には嬉しそうにする活動というのは

脳にとってとても良い刺激となっています

  

発達に不安を感じた時に働きかけるべき3つのポイント

それでは、自発性を重視すること以外に、

発達に不安を感じた時出来る工夫というのは、

どういったものがあるでしょうか?

 

重要なポイントとしては主に3点あります。

  1. 身体の発達を促すことで神経系を育てる
  2. 神経系の発達に必要な栄養を満たす
  3. 環境刺激の調整

 

1.身体の発達を促すことで神経系を育てる

身体から神経系を育てると言われると、

とても難しいことをするようなイメージを持つかもしれません。

 

大切なのは、

身体に気持ちいい刺激を

毎日少しずつ入れてあげることが基本となります。

 

気持ちいい刺激を入れるためには何をしたらいいの?

その答えはまず、気持ちよく触ってあげることです。

 

触られるのを嫌がるというお子さんでも、

背中にフワッと手を当ててあげることは嫌がらなかったりします。

手をワニに見立てて腕を手先からパクパクしていくのは楽しめたりします。

くすぐり遊びは楽しめるという場合もあります。

 

触り方や場所によっても、

子どもの受け入れは異なりますので、

遊びながらお互いに触れ合う遊びを重ねてみてください。

 

楽しんで触れる場所が見つかれば、

段々と触れる範囲が広がってきます。

触れ合うことの効果

肌と肌の触れ合いはオキシトシンを生み出す効果があると言われます。

そして、そのオキシトシンは

自閉症の改善に効果があると研究されているホルモンの一種です。

“愛情高める”ホルモンで自閉症改善へ | NHKニュース

 

また、それとともに発達障害のある子どもたちでは、

背中や足などが固くなっていることが非常に多いです。

 

そこに触れて緩むようになってくると、

言葉が伸びてきたり、不安が軽減されるようになったり、

といった変化を見せる子どもたちがいます。

 

毎日、少しずつ遊びの中などで、

子どもたちの身体を気持ちよく触ってあげてください。

 

固いところがあれば、そこに優しく手を当ててあげていてください。

日々の積み重ねによって、固いところが変わってきたり、

触られても大丈夫なところが増えてくると、色々な変化がみられてきます。

 

2.神経系の発達に必要な栄養を満たす

神経を育てていくために必要なこととして、

その神経を作る材料が十分に存在しているかという問題もあります。

 

神経を作る材料として重要なものとして、

まずはタンパク質と鉄が重要になります。

 

タンパク質の役割

タンパク質は皮膚や内蔵、髪の毛などを作ったり、

脳内の神経伝達物質などを作る原材料にもなります。

 

これが不足すると、内蔵がしっかり作られず栄養が吸収しきれなかったり、

アレルギーやアトピーにもなりやすくなると言われています。

 

それを防ぐためにお肉・卵・魚をしっかり摂取するようにしてください。

卵は生だと栄養が吸収しにくくなるため、

加熱して取るようにしましょう。

鉄の役割

鉄は血液を作るだけでなく、

神経伝達物質を作る際にも必要となり、

体内の活性酸素を除去する際にも働きます。

 

妊娠中のお母さんが貧血気味であると、

子どもも鉄不足になっていることが多いと言われますので、

妊娠中に貧血を指摘されていた方は

意識的に補充するようにしてみることがオススメです。

鉄の補充には鉄瓶や鉄鍋を調理に使うようにする。

鉄の多く入ったラブレlightという商品で摂取する手も。

この商品は糖質も少なく、ジュース感覚で飲めるのでオススメ。
ただ、重い鉄不足であればこれだけでは全然足りません。
 
他にも発達障害に関わる栄養の問題は
色々とありますが、長くなるためまた別記事でご紹介します。
 
詳しく知りたい方は、
こちらのブログも参考にされることがおすすめです。

3.環境刺激の調整

生活の中でテレビなどの音を減らすことも、

発達を促す効果があると言われます。

 

この背景として、 

常に音が聞こえていると、

そういった音の処理にも栄養が使われてしまい、

発達に必要な栄養が足りなくなる

という説があります。

 

また、乳幼児では聴覚が未発達であり、

色々な音に囲まれていると、

自分の声やお母さんの声がうまく聞き取ることができなくなり、

声や他人にうまく反応できなくなっていくとも言われます。

 

実際、音の量を調整したことで

言葉への反応が良くなったというケースも見られています。

また、外以外でも身体を動かす時間を増やすよう心がけることも、

良い影響を与えることが多いです。

まとめ

発達が気になると感じられた際には、

まず日々の生活の中で、

テレビやタブレットなどを見せる代わりに

一緒に手遊びをしたり、外遊びに連れて行く。

 

その中でお子さんが自発的にやりたがり、

満足そうな顔を見せる活動を探していきましょう。

 

また遊びの中などで、身体を気持ちよく触って、

全身に刺激を入れてあげる。

 

そして食事でタンパク質・鉄を意識する、

こういった工夫から始めてみてください。

 

神経が育ってくると、

発達障害と言われている状態が変わることは、

間違いなく起こりえます。

 

諦めずに日々の出来ることから、

少しずつ積み重ねていきましょう。

 

栄養の問題について、

もっと詳しく知りたい方は

こちらの記事も御覧ください。

 

 

www.karadamental-brog.com

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