【心身養生を考える からだメンタルラボblog】

身体と心へのアプローチを実践しているからだメンタルラボの活動情報や、鹿児島市での活動を地域支援活動を行うこだちの活動情報、身体と心のつながりについてのお話などを掲載しています。

「胎児期の愛着障害」のケアとその効果

胎児期の愛着障害という言葉を聞いたことはあるでしょうか?

原因のわからない生きづらさの背景にこの状態が隠れていることがあります。

今回の記事では、

掲載許可をくださった体験談を基に、その状態があると何が起きるのか、

そのケアとして何が出来るのかを紹介します。

目次

 

胎児期の愛着障害とは?

精神科医の神田橋條治氏が

著書「治療のための精神分析ノート」にて提唱している概念です。

 

簡単に説明をすると、

お腹の中にいた頃に母体の体調不良があったり、

仕事や家庭でのストレスなどを感じることが多かったりといった形で、

負荷が大きかった時などに体内でも不安心体験をします。

 

そういった体験を積み重ねて出生すると、

その後もその不安心体験が続き、

日常生活をする中でも満たされない感覚が持続したり、

いつもなんとなく落ち着かないといった状態になります。

 

その状態を同書で神田橋先生は

「虚しく寒々とした、身の置きどころのない、見捨てられの雰囲気や気分に振り回されている体感」

と表現しています。

 

この状態があると

他人とのやり取りを被害的に捉えやすくなったり、

人生の中で生きづらい感覚を覚えることが増え、

この愛着障害を抱えている人々が精神科にかかった際に、

「境界例、境界性人格障害」と言われる診断がつくと述べています。

 

また、診断がつかなくとも、

支援職や対人援助職を目指す人々の中には、

この状態像を抱えている人が多く、

自分が生きづらかったことから

誰かを助けることに関心を持つことがあるとも言われます。

 

そういった支援職は自分自身を安心させるために

精緻な理論を作り上げ、

それに同様の不安を抱えた人が集うといったこともあるそうです。

 

この支援職と他の職種の人で差があるのかは不明ですが

同業者で過剰に不安がったり、怒りを振りまく人などを

筋反射でチェックをしてくと、胎児期の愛着障害の反応が大体あります。

 

教員にも少なくない印象もありますが、

そのへんは夏の講演会でも聞けるかもしれませんね。

 

また、発達障害の子どもたちにも

胎児期の愛着障害があることは多く、

胎児期の負荷と発達障害もやはり関係するのだろうということを感じます。

 

胎児期の愛着障害のケア

この体験というのは胎児の頃のものであり、

この頃はまだ言葉を使えない時代です。

 

そのため、治療においても言葉では改善が出来ないと言われ、

身体やイメージを用いた方法によって、

体験レベルでのケアをしていくことが必要になります。

 

以前の記事でも触れていた

「おんぶの気功」もそのケア方法の一つです。


自身の体験から

私自身、胎児の頃には逆子でした。

そして何年も前に神田橋先生に診ていただいて

「胎児期の愛着障害があるね」と言われました。

その際、逆子というのは正位置で安心できない状態があったから、

逆になっていたと説明されました。

 

その後、習った気功やタッピングで愛着障害を処理し、

今から振り返るとたしかによくわからない不安感、

落ち着かなさに振り回されていたということを実感します。

 

特によく覚えているのは、

大学時代などに友人関係などでも満たされていたはずなのに、

どこか満たされない、居場所があるのにない感じを覚え、

なんとなく許されていない感覚といったようなものがありました。

 

毎日実家に戻る際には「まだ帰りたくない。でも何がしたいのかわからない」

そんな焦りにも苛まれていたことが思い出されます。

 

今はもうそれらの感覚は遠いものになりましたが、

その当時、そういったなんとなくラクじゃない感覚というのは、

自分自身が心理職を目指した要素の一つだったのではないかなと感じます。

もし、もっと早くに処理する機会があったら、

心理職にはならずに過ごしていたのかもしれません。

 

いただいた体験談

最近はからだメンタルラボのオンライン面接の中でも、

胎児期の愛着障害をタッピングで処理するケースがいくつかみられています。

 

その中で感想を頂いたケースの体験を抜粋してご紹介。

教育関係の仕事をしている20代の女性

主訴は「調子が悪い朝の不安な気持ち」

セラピーから2日後、

調子が悪い朝、重い気持ちでベッドの上で丸くなって、いつものように自責が始まりました。

が、不思議と今までより柔らかい気がしました。

「あれ?もしかして、セラピーの効果なのだろうか…?」と思っていると、

少しずつ自分を信じる温かい気持ちが大きくなってきて、自責が小さくなっていきました。

そして、調子が悪くない朝のように起き上がることができました。

「え!普通に起きられた!(なんじゃこりゃ。)」と、とても驚きました。

 

看護師の40代女性

主訴は小さい頃、母と目が合うだけで怒られる、叩かれると思い、

肩にぐっと力を入れていた経験から肩にぐっと力を入れすぎて固まる癖


セラピーから数日し、

憑物が落ちたようなすっきりなんとも言えない不思議な感じがしている。

子どもが言う事を聞かなかったり、私が疲れていたりしても怒りが湧き上がらない。

感情に振り回されないようになった。

今まで 小さなフラッシュバックを繰り返していたんだなと思った。

深い所のトラウマ処理ができると日常生活がとても楽になった。

辛かったとしても以前より戻りが早くなっている 

 

といったような報告を頂いています。

より詳細な感想は、からだメンタルラボの利用者の声で掲載しています。

 

もちろん胎児期の愛着障害だけでは全ての症状がなくなるわけではありませんが、

安心する体験が出来るかどうかということは、

脳の自然治癒力の発揮にも大きく関わります。

 

例えば、ずっと自室でゆっくり過ごすことが出来なかったという方が、

胎児期の愛着障害を処理してから家でゆっくり過ごせるようになったというケースもありましたが、

家にいてもゆっくりできない。

安心して休むことが出来ないといった状態が続いていれば、

しっかりと休息するというのが難しいことは想像に難くないことです。

 

そしてこのような症状は理由を探ってもわからないことが多いですので、

思い当たることがある人はぜひ身体やイメージからのアプローチを試みていってほしいと思います。

 

一人でも簡単に出来るアプローチを知りたい方は

神田橋先生の「神田橋條治の精神科診察室」「心身養生のコツ」を参考にするのがおすすめです。

 


心身養生のコツ

 


神田橋條治の精神科診察室

 

 

今後のからだメンタルラボの講座・講演会情報 

2021年7月25日(日)に

ひろあ先生と栗本啓司先生をお招きして、

コンディショニング講座@大阪2021夏の講演会

「知って得する!発達障害と勉強の話~進路を拓く土台を作る~」を開催いたします。

 

講演会の詳細についてはこちらから
 
 

 

 

 


治療のための精神分析ノート