【心身養生を考える からだメンタルラボblog】

身体と心へのアプローチを実践しているからだメンタルラボの活動情報や、鹿児島市での活動を地域支援活動を行うこだちの活動情報、身体と心のつながりについてのお話などを掲載しています。

トラウマセラピーの体験談をいただきました

昨年5月にセラピーの体験談をいただいていたのですが、色々とバタバタした日々のなかでなかなか手がつけられず、一年ほどが経ってしまいましたが、久しぶりにいただいたセラピー体験談のご紹介。

 

相談者は50代女性で初めてお申込みいただいた際にはご自身がカサンドラ症候群かと思い、鬱で休職中の状態ということご相談をいただきました。

ちなみにカサンドラ症候群とは何かについては、wikipediaから引用すると以下の通りです。

 

カサンドラ症候群 

アスペルガー症候群の夫または妻(あるいはパートナー)と情緒的な相互関係が築けないために配偶者やパートナーに生じる、身体的・精神的症状を表す言葉である。

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AB%E3%82%B5%E3%83%B3%E3%83%89%E3%83%A9%E7%97%87%E5%80%99%E7%BE%A4

 

いただいた体験談の中の一部をこちらではご紹介。

全文はからだメンタルラボHPの体験談ページにて紹介しています。

体験談

主訴:抑うつ状態、夫に対する恐怖感、自己否定感

これまでの対処:メンタルクリニック通院、抗うつ剤服用、TMS治療、参考になりそうな本を読む等

セラピー前の状態:最もひどい状態(2018年冬)よりは回復し、希死念慮、不眠、罪責感に近い程の自責の念、焦燥感、不安感、アカシジア、過呼吸などは軽減しつつある状態でした。

 

・セラピー中の体験

合計3回のセラピーを受けました。

セラピーを受ける前後で、人生が変わるほどの劇的な変化があったため、セラピー中の体験はあまり詳しく覚えていません。申し訳ありません。

最初のうちは、夫の代理タッピングを必死でやっていましたが、回を重ねるごとに、夫のために割く時間がもったいないと思えてきて、次第にやる気が(必要が)なくなってしまいました。

そんな時間があったら自分のために使おうと思えるようになりました。

セラピーを受けることで、どんどん気持ちが楽になっていきました。

トラウマセラピーということに対して最初は懐疑的でした。(トラウマという概念にも、タッピングというセラピーに対しても両方です。)

でも、実際に受けてみて、zoomなのに、津田さんのセラピー、KALGOのタッピングをしているうちに次々と変化が起きてきてとても驚きました。

 

・セラピー後に感じられた変化

マジで人生が激変しました。本当にありがとうございました。

過去を後悔してのぐるぐる思考から解放されたり、自分を責めなくて済むようになったりしたことが一番うれしい変化でした。

夫に対して、顔色を窺ったり、怒られないようにびくびくしていましたが、今では、「いい大人なんだし、自分の機嫌は自分で取ってくれ」と思えるようになり、怯えたり怖がったりすることもなくなりました。

娘に対しても心から可愛い、愛おしいと思えるようになりました。娘が可愛くなかったわけではないのですが、息子のようには無条件で大好き!とは思えなかったのです。夫に溺愛され、思ったことを自己主張できる娘をうらやましく感じていたのかなと思います。夫に、娘だけでなく私のことも大事にしてほしい、と思っていたのかもしれません。でも、夫のことが怖くなくなると、自分で自分を大切にしようと思えるようになりました。

などなど、

自己否定感がなくなったこと、夫に対する気持ちの変化から、自分を大切にしようと思えるようになり、生きづらさから解放され、とても楽になりました。

「楽」から「楽しい」へとシフトして、これからは心が喜ぶような生き方をしていきたいと思います。

どうもありがとうございました。

 

夫のことが原因で感じていた気持ちも語ってくださっていたなかで、セラピーを通して、抱えていた本人のしんどさが軽くなったり、向き合い方が変わっていったことで夫自体はそのままであっても、変化を感じられたという報告でした。

あくまでもセラピーというのは本人がラクになっていくためのサポートをするもので、他人を変えるためのものではないということを、私自身も改めて学ばせていただいた体験だったように思っています。

 

その後も相談者の方は、ご自身のラクになった思考や感じ方を活かして、活動の幅をどんどん広げていかれているとも聞いていて、それまでにご本人が積み重ねてきた色々な試行錯誤や本来持っておられた力が、セラピーを通して発揮されるような結果になって、これだけの大きな変化があったのではとも感じています。

 

トラウマセラピーは何をするのか

こういった変化が起きることもあるトラウマセラピーでは何をしているのか、についてもせっかくの機会ですので、今回は少し紹介しておきたいと思います。

 

トラウマセラピーをしていると話すと、「嫌な記憶を無くせる」と考える方が時々おられます。実際に記憶が無くせるのかというと、残念ながらその答えは「NO」です。

もしも記憶を消したり、無くすような方法を開発したのであれば、ノーベル賞にもなりうるのではないでしょうか。

 

では、トラウマセラピーでは何をするのか?というと、“過去の辛かったり、ショックだった出来事などがコントロールできずに突然出てきてしまう、いわゆる「フラッシュバック」を軽減していく”ことが一つの大きな目的になります。

 

たとえば、いただいた体験談の中では「過去を後悔してのぐるぐる思考から解放されたり、自分を責めなくて済むようになった」という報告がありましたが、後悔する気持ちや自分を責める気持ちの背景に、過去の失敗や辛かったことがフラッシュバックして、色々な場面で思い出されていて、ということが有り得ます。

 

からだメンタルラボでのトラウマセラピーでは、フラッシュバックを起こす記憶というものは、思い出したり、意識した時に身体に不快な感覚が生じるものと定義しています。

 

これは身体がその時の辛さや苦しさを記憶していて、思い出した時にその感覚が蘇るような状態と考えられます。

 

その状態で思い出した記憶は生々しく嫌な感覚がつきまとうことが多く、その記憶と似た感覚を覚える出来事があった時には、その記憶も一緒に出てくることで不快感が何倍にもなって感じられることがあります。


そういった思い出すと身体に不快感が生じる記憶に対して、身体の反応を軽減していくアプローチを行っていきます。

 

この身体の反応を軽減することの効果については、複雑性PTSDを外来治療していくための方法として杉山登志郎先生が提唱している「テキストブックTSプロトコール」でもこのように述べられています。

「身体的不快感を抜くという治療を4~6回行うと、フラッシュバックそのものが軽減する」

テキストブックTSプロトコール P25 杉山登志郎 日本評論社

 

処理がうまく進むと、以前は身体的に不快な感じがあった記憶を思い出しても「なんか前ほど嫌じゃなくなった」「もう思い出しても、あぁそんなことあったなぁって感じ」といったように反応が変化していきます。

 

こうした処理を行っていくなかで、日常で起こるフラッシュバックが減っていくと、目の前で不快な出来事があった時の不快感が段々と適切なサイズのものになっていきます。

 

たとえば、以前は人に嫌われたと思うと10段階で評価すれば10(最大)の強さで恐怖を感じていた人が、セラピー後には1や2の強さで恐怖を感じるようになったりします。(あくまでも目の前の出来事に不快を感じること自体は自然な反応なので、恐怖が全くなくなるのではありません)


いただいた体験談のような、夫に対してビクビクする気持ちがあるという状況であれば、夫と関わる時などに一緒に反応していた、過去の夫に対する気持ちや親や学校の先生など、他の人に対する記憶が反応していることがあります。

 

何が原因なのかはセラピーをしていってみないとわかりませんし、もちろんトラウマセラピーだけですべての問題が解決するとは限りません。

 

ただ、そういった過去の辛い記憶が思い出されて苦しい状態のなかで、どうしていいかわからないと悩まれている方は、一度トラウマセラピーを受けてみることが状況を変えていく役に立つことがあります。

 

また、ご自身の困った状況にトラウマの影響があるのかも、という視点を持って考えてみることでも、何かヒントになることもあるかと思います。

 

ご興味ある方はお問合せフォームからお気軽にお問い合わせされてみてください。