6月8日(土)、9日(日)に「支援者のための身体と心のワークショップ」を開催しました。
おかげさまで多くの方にご参加をいただき、大盛況の2日間となりました。
今回の記事は講座を振り返りつつの終了報告となります。
講座内容
day1<6月8日(土)16時30分~19時>
会場:鹿児島市中央公民館 中会議室(第一)
講座1「共感のための心と身体~共感力とトラウマ~」16時30分~17時20分
講座2「コミュニケーションツールとしての護道~身体から他者とのバランスを取る技術~」17時30分~18時20分
クロストーク 18時30分~19時00分
day2<6月9日(日)13時15分~>
講座3「護道特別稽古会」13時15分~16時15分
会場:鹿児島アリーナ 武道場Ⅰ
初日から鹿児島は梅雨入りしたこともあり、お天気は今ひとつという感じでしたが、講座は2日とも曇り空を吹き飛ばすような、あたたかで熱気あふれる時間となりました。
講座内容振り返り
day1
講座1は私が担当させていただき、支援者が現場で抱えるトラウマの問題とそのセルフケアについてお話をさせていただきました。
お伝えしたかったことのメインは、支援者に限らず、生きていると誰でも多少はトラウマを抱えていることはあるはずですが、そのケアを少しずつでもしてみると、支援者自身もよりラクに生きられたり、それがひいてはより良い支援に繋がっていくこともあるということでした。
「トラウマ=悪いもの」と考えると、すべてなくす必要があるというような考えになってしまいますが、実はそうした考え方の背景にもトラウマが影響していることもあります。
そして、そうした何か一つ絶対的な悪いものがあるような考え方は、無意識に周囲の人や物事をに対してもそうした視点を持つことに繋がって、関わりがうまくいかなくなるきっかけになることもあるように感じています。
また、トラウマの影響が軽くなっていくと、自然と過去のつらい体験のなかからも、学んだ部分があったり、成長の糧になっていたことが見えてくることがあります。
ただ、そうした変化はつらさが生々しく残っている状態ではわからなくて当然の部分です。
今回講座に参加された方のなかでもお伝えしたワークを利用するなかで、そうした感じ方の変化を体験をする方がおられると良いなと思っています。
そして講座2では廣木先生による「コミュニケーションツールとしての護道~身体から他者とのバランスを取る技術~」についての講座でした。
護道の成り立ちやこれまでの実践のお話から、暴力防止として現場で主流となっている対応の課題、支援者の心身を整える重要性や環境としての支援者のあり方の重要性まで、非常に幅広い内容が凝縮された内容となっていました。
特に現場での実際の状況については、私も初めて知った部分もあり、本来メインであったはずの「利用者の安心安全」がどこかにいき、「支援の構造を護るために支援者を護る」といった状況があることに衝撃を受けました。
きっと、そうした本質とはズレている対応を心ある支援者が実践せざるを得なくなるなかで、心を病んで現場を離れていくようなことも現実にはあるのではと想像させられました。
虐待が連鎖するということはよく言われる話ですが、最後に廣木先生は「(おーちゃんが)暴れていた時に抱きかかえをしていたら、最近は僕のことを抱きかかえしてくれるようになりました」とハグも連鎖するのだということを示してくださいました。
そうした幸せな連鎖が増え、広がっていくようにこれからも活動をしていけたらと、改めて考えさせられる時間でした。
クロストークの時間は、参加された皆さまからの質問もいただきつつ、お話をさせていただきました。
詳しい質問内容はここでは触れませんが、いただいた質問からも参加された皆さまが熱心に講座を聞きながら、自分事として考えられていた思いが伝わってくる質問ばかりで、あっという間に終了時間を迎えることとなりました。
講座終了後には懇親会にも大勢の皆さまにご参加いただき、楽しい時間を過ごさせていただきました。
私が鹿児島のいろいろな場所で繋がった様々な形で地域のためにと活動されている方々がつながる機会にもなっていて、これから先、このご縁が更に何か大きな動きに繋がっていくこともあるのかとも感じる時間でした。
day2
この日は例年通り、鹿児島アリーナの武道場をお借りして、3時間に及ぶ、護道の特別稽古会でした。
過去にも参加された方から「今日のはすごく充実してる…」と驚きの声があがることもあるほどに充実した内容となっていたのですが、すべて書くと長くなりすぎるため、個人的にハッとしたポイントをいくつか。
まず、今回、昨年度では披露されなかった相手を止めて抱きかかえの状態になってから、落ち着くまでという部分の実演が丁寧にされていました。
護道の技術を知り、抱きかかえようとするものの、相手からの抵抗を受けて、どうしていいのかわからなくなるという場合もあるように思っていたなかで、こうして抱きかかえたら即落ち着くとは限らなくとも、(即落ち着く場合もあるそうです)そこからこうして対応をしていくという姿を見れたことは現場や家庭で実践していく方にとっては、非常に勇気をもらえたのではと感じました。
また、全体を通して、最終形として、こういったことができるようになるといった説明があったうえで、それぞれの基礎となる部分の体験をしていくような流れで実技に入ることが多かったのも、今回の講座の特徴だったようにも思います。
基礎、基本の練習だけでは、こうした方法があるのはわかったけれど、これが何の役に?これはどこでどうすれば?と思う方もいるのかなとも思いますが、そうした部分を理解しながら体験をできたことで、目指すべき先も見据えての練習をしていける気がしました。
今回の講座のなかで、護道を通して学ぶ、技術や態度というものは、目の前の人やことに対してがむしゃらに頑張る、全力でなんとかする、ねじ伏せる、といったある種自然で野性的なものを、お互いに調和できる無理のない形でコントロールしていくための訓練でもあるのだと感じました。
こうした姿勢や態度を持つ人が増えていくことはやはり支援の現場に限らず、社会の雰囲気なども少しずつ変えていってくれるのではと想像しています。
(※こちらの写真は講座後に残っていた方で撮影した写真となっています)
私個人でできることは小さなこととは思いますが、こうした身体と心の両面を育み、整えていくための実践活動を今後も続けていけたらと思っています。
day3
ちなみに2日間の講座の翌日は伊敷病院に廣木先生をお連れし、天文館で白熊を食べていただいてお見送りとなりました。
伊敷病院でのやりとりなどは廣木先生がブログでまとめられているのでご興味ある方はこちらからご覧ください。
今後、護道が更に広まっていきそうな、いろいろと楽しみな動きがありそうなお話もお聴きして、鹿児島でも引き続き、少しずつでも護道に興味を持っていただける人が増えるように、引き続き活動をしていけたらと思っております。
参加者感想
こちらではいただいた感想の一部を掲載。(一部修正あり)
経験したことのない体験に驚きましたが、自分が自分のわかっている範囲で考えようとして、相手を理解できてないことに気づいてないんだな、と思いました。
改めて、人間関係の土台である信頼関係性の大切さを学びました!
身体のつかいかた、改めて本で復習いたします。周りにも広めます。日本中が、ゆるみかたを覚えたらどんなに、なごやかな国になることでしょう。仕事でも活かせます。本当にありがとうございました。
有意義な時間でした。治めるでも、戦うでもなく、相手を感じながら一緒に作っていく。何度も何度も思い出していきたいです。ありがとうございました。
一日目でトラウマを抱えていてもいいんだ、そのままでもいいんだと気づきました。
本日は自分の身体の使い方が自身で思ってるよりずっと使えていないこと、戦わすいなして互いを護る術があるんだー、と少しだけ学びました。興味尽きずまだまだ知りたいし学びたいです。
デモンストレーションの中でもやり取りをして廣木さんの胸の中というかお腹の中というか、そこで心地よく揺さぶられ呼吸を合わせて頂き優しくタッピングされている時、この年(50代)の男性が中々体験する事の無い機会で、今まで味わった事のないふわっとした心地よい気持ちになってしまいました。うまく説明出来ませんが、人間には説明出来ない感覚があるんだよなー、と感じました。
仕事(特別支援学校教員)だけでなく、筋力によらない動きや身体の使い方を身につけたい者としても、本当にものすごく勉強になりました。
身体の動きを、軸でイメージすると不覚筋動が働くというのが、いろんな場面で応用が利いて、楽しい入力になりました。
早速、日常でこっそり試しています。
あと、講座に参加されている方との新しい出会いが楽しいですね。
他にも多くのご感想をいただいきました。講座にご参加いただいた皆さま、本当にありがとうございました。
そして大阪から鹿児島まで毎年お越しいただき、長時間の講座をしていただく、廣木先生、本当にありがとうございました。
また来年もこうして廣木先生をお招きしての講座開催をしていけたらと思いますので、
今後ともどうぞよろしくお願いいたします。
鹿児島での護道稽古会
鹿児島で護道を学び、身につけていくための会についてお知らせです。
月に2回、大阪道場とオンラインで繋いでの稽古が第一、第三金曜日の夜に、
月に1回(土曜日なことが多いです)、オフラインでの練習会を行っています。
初回参加は無料ですので、ご興味ある方はぜひ足を運んでみてくださいませ。
6月は29日(土)15時半~16時半に鹿児島中央公民館にて練習会の予定です。
(参加希望の方は事前にご連絡をいただきますよう、お願いいたします)
詳細やご連絡はこちらのHPのお申込みフォームから
またこちらの鹿児島護道稽古会Facebookページからもご連絡いただけます。
からだメンタルラボでのその他の開催講座・配信講座情報
オンライン配信中
2022年5月22日(日)に鹿児島にて廣木道心先生をお招きして開催した支援介助法セミナーの後日配信を行っております。
※「支援者のための身体と心のワークショップ」参加者は特典としてもご視聴いただけます
ご興味のある方はこちらのページをご覧ください。
こだちでの開催講座情報
「自分を感じてケアするからだとこころの講座」というテーマで、こだちのスタッフがそれぞれの専門性を活かして、からだとこころのセルフケアについて紹介する連続講座を2024年5月から月に一回のペースで開催しています。
<6月講座”自分でできる!心をラクにするボディセラピー”>
2024年6月29日(日)13時~15時
講師:津田 政志(からだメンタルラボ 代表、臨床心理士)
場所:鹿児島市中央公民館 和室
※参加者が多くなった際、近くの別会場とする場合があります。
参加料金:1,500円
お申込みはこちらのフォームからどうぞ!
こだち講座について詳しくはこちらから!
廣木道心先生ご著書・ご共著など
「発達障害のある子どもへの介助法-子どもに痛みを与えないパニック対処スキル-」
「自傷・他害・パニックは防げますか?」
「発達障害・脱支援道 笑顔と自由に満ちた未来のためにできること」
「護道の完成-自他を護る実戦武道」
DVD「廣木道心先生の支援介助法~お互いに傷つけない介助のワザ~」