【心身養生を考える からだメンタルラボblog】

身体と心へのアプローチを実践しているからだメンタルラボの活動情報や、鹿児島市での活動を地域支援活動を行うこだちの活動情報、身体と心のつながりについてのお話などを掲載しています。

”こだち”でのお話し会活動のきっかけ

”こだち”では大体1ヶ月に1回のペースでお話し会を開催をしています。

この記事ではこのお話し会の開催を考えたきっかけについて、ご紹介しておけたらと思います。

 

”こだち”って何?という方はこちらをご覧ください。

www.karadamental-brog.com

 

お話し会をしたいと思ったきっかけ

鹿児島に移住をしたことをきっかけに始めた、自殺予防の仕事での経験が、「お話し会やってみたいな」のきっかけでした。

 

「生きていくことが難しい」と感じる人々の相談を聞いていると、問題の背景には、精神疾患などの心の問題だけでなく、生活の不安定さや居場所のなさといった問題があるように感じるようになりました。

トラウマによる苦しさである場合もありますが、生活の中で安心出来る環境や居心地の良い環境が作られていない限り、再び新たなトラウマを抱える可能性もあり、なかなか改善しないこともあるのではないかと考えています。

人が集まって話し合える場があることは、心の健康を保つ上でとても重要な要素になります。

現時点で、家庭や生活環境で安心して過ごすことが難しいのであれば、その代わりにほんの数時間でも、安心して過ごせたり、気楽に振る舞ったりできるような場所を作りたい、と考えています。

 

居場所づくりの重要性を知った2冊の本

自殺予防の仕事を通して生き辛さの問題の背景をあれこれと考えるなかで出会ったのが、次に紹介する2冊の本でした。

●1冊目

庭に小さなカフェを作ったら、みんなの居場所になった。 著:南雲明彦

 


この本は、富山県砺波市で庭にカフェを作ったことをきっかけとして出来上がった地域の輪、そこから派生するみんなの居場所について、関わっている人々の思いを紹介しています。

 

この本の中で出てくる「みやのもりカフェ」での人間関係の作られ方は、こんな風に表現されています。

誰かが「場」をつくり、そこに風のようにいろいろな人が出入りする。

もちろん、たまにトラブルや困ったことが起きるかもしれない。

それをみんなで考えて解決に向かうこと。

それが、本来ある人間関係をつくっていくことなのではないかと思っています。

(P25)

「もりのみやカフェ」では、支援する側と支援される側を分けるのではなく、それぞれが出来ることをしたり、考えたりしながら、時間と役割をともにして人間関係が出来上がっていくのです。

こうした人間関係を築くことが、何かしら人の心を癒やす効果があるように思います。

 

臨床心理士という資格を持って様々な相談に応じていると、相談をする人は自然と「この人に何かしてもらえるのだ」と期待をするものです。

もちろん、期待に応えられる何かを提供することは大切なのですが、「してもらう関係性」「してあげる関係性」でいるだけでは、相談する誰かの主体性を奪ってしまうのかもしれない、と気づくことができた1冊でした。

 

●2冊め

生き心地の良い街 この街の自殺率の低さには理由がある 著:岡檀

 

こちらの本は徳島県にあった海部町が持つ、「ある特徴」についての紹介がされています。

「ある特徴」というのが、この海部町が当時の日本の市町村の低自殺率トップ10のうち唯一、島ではない町である、というものです。

 

読み進めていくと、その町の持つ自殺を防ぐ効果を持つ特徴が、5つの自殺予防因子として紹介されています。

 

その中の一つに「病は市に出せ」というものがありました。

これは、本中から引用するとこういった意味です。

 

「病」とは、たんなる病気のみならず、家庭内のトラブルや事業の不振、生きていく上でのあらゆる問題を意味している。

そして「市」というのはマーケット、公開の場を指す。

体調がおかしいと思ったらとにかく早めに開示せよ、そうすれば、(中略)周囲がなにかしら対処法を教えてくれる。

(P73)

 

生きるのが難しく感じる人たちの中には、辛い思いや困りごとを抱え込み、一人では到底対処が出来ない状況の中で、それでも「一人でなんとかしないと」、と自分で自分を追い詰めている特徴があります。

心理学的には「視野の狭窄」と表現されます。

 

「視野の狭窄」が起こる背景には、幼少期からの教育や現代の個人主義の影響などで、弱音を吐いてはいけないといった考え方を植え付けられていたり、問題が起こるのは自分の責任であるいった考え方が無意識に刷り込まれていたりすることがあります。

つまり「病は市に出せ」とは真逆の考え方になります。

 

お話し会の場では、「今これでちょっと困ってて」と誰かが相談し、それについて一緒に考えたり、「こうしてみたら?」と提案したりする雰囲気があります。

たとえ困っていることをすぐに言葉にして誰かに話せなくても、周りの人が困りごとを話してる様子をみて、なぜかスッキリすることもあります。

世の中には話しても解決しないこともあるけれど、ぽつりと零してみることで少し気が楽になることもあります。

 

そういう体験ができる場があれば、鹿児島の中でも「生き心地の良い場所」を作っていけるのではないか?と考えています。

 

動き始めたばかりの会ではありますが、来てくださった方にとって良い場所になっていけるよう、試行錯誤を続けているところです。

興味をもたれた方は、ぜひ気軽に顔を出していただけるとうれしいです!

 

今後の開催予定はこだちのHP、あるいはこのブログの「こだち」のカテゴリーの記事を見ていただくと最新の予定が確認出来ます。

 

こだちでの講座開催予定

こだちでは2023年度、鹿児島市の助成を受けて「心と身体を育てる発達支援プロジェクト」として2つの講座を開催します。

その1つ目の講座として、5月14日(日)に「パニック対応と予防のための護道・支援介助法」講座を鹿児島アリーナにて開催します。

詳細はこちらからご覧ください。

www.karadamental-brog.com

 

からだメンタルラボでの開催講座・配信講座情報

オンライン配信中

2022年5月22日(日)に鹿児島にて護道の廣木道心先生をお招きして開催した支援介助法セミナーの後日配信を行っております。

ご興味のある方はこちらのページをご覧ください。

www.karadamental-brog.com

2023年2月11日(土)に大阪にてからだ指導室あんじんの栗本啓司先生をお招きして開催したコンディショニング講座@大阪「子どもの育ちと集団生活~発達を支えるために大切なこと~」の後日配信を行っております。

ご興味のある方はこちらのページをご覧ください。

www.karadamental-brog.com