【心身養生を考える からだメンタルラボblog】

身体と心へのアプローチを実践しているからだメンタルラボの活動情報や、鹿児島市での活動を地域支援活動を行うこだちの活動情報、身体と心のつながりについてのお話などを掲載しています。

「自分を大切に」ってどうするの?こんまりメソッドとフォーカシング

よく「自分を大切にしなさい」というフレーズを耳にします。

そう言われると、

「あぁ大切にしないとなぁ」と思うこともあるでしょうし、

「そんなふうに言われてもどうやったらいいんだろう?」

となることもあるかと思います。

 

これは自分を大切にするというのが、

非常に抽象的な目標であることが原因です。

 

では、具体的に、

自分を大切にするためには何をしたらいいのでしょうか?

今回は、その自分を大切にするためには、

ある種のトレーニングが必要です。

今回は日々の生活の中でできるトレーニング方法を紹介していきます

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 目次

自分を大切にするためには、感覚を大事にする

一番大切なことは

自分の内で生じる感覚を大事にすることです。

 

社会生活を送っていると、

  • 自分のやりたいことを我慢したり、
  • 周りの予定に振り回されたり、
  • 理不尽な出来事が起きたり、

色々なことが起きます。

 

こういった暮らしの中で、

人は自分の気持ちを抑え、我慢して、

といったことを繰り返す中で、

だんだんと自分の中で感じたものにも鈍感になっていきます。

 

その傾向が強くなっていくと、

  • 以前楽しかったことが楽しいと感じられない
  • 毎日の生活がただ流れているだけ
  • 自分の気持ちがよくわからない

といった状態に陥ってしまいます。

 

本来、人は生活の中で色々な感覚を感じます。

その感覚は自分で選択を行うためのヒントになるものです。

 

なんとなく物事がうまく回るという人がいますが、

そういった人は自分の感覚をきちんと味わえ、

それに従えていることで、

心身が自然と正しい選択をしているような状態なのです。

 

その羅針盤ともいうべき、

感覚がわからなくなってしまっていると、

自分なりに考えて、良かれと思ったのに悪い結果ばかり。

 

ひどい場合は、

周りからは「なんでそんなことするの?」と非難を受け、

更に自分が信じられなくなる。

そんな悪循環に陥ってしまうこともあります。

 

人によっては、無意識に感覚を確かめるために、

自分を傷つける行為や過激な行為に陥っていることもあります。

 

そして、そのような状態から脱するためには

辞めようという意思だけでは難しいのです。

 

まずは自分の内で生じる感覚を味わう練習をすること。

自分の感覚が育ってくると、

少しずつ自然と自分を大切にする、

自分の感覚に従って生きることが出来るようになっていきます。

 

自分を大切にするためのトレーニング方法としてのこんまりメソッド

先日、

テレビで“こんまりメソッド”という片付け術が

世界的な大ヒットをしているという話を聞きました。

 

そんなに流行っているのに、

全然知らなかったことに驚きつつ、

その番組の中で実際にメソッドによる片付けを見ていました。

 

すると更に驚いたことに

やっていることがまさに自分の内を感じる練習なのです!

では、こんまりメソッドはどういったメソッドなのか、

 

こんまりメソッドとは?

これはもう知らない人の方が少ないのかもしれませんが、

片づけコンサルタントの近藤麻理恵さんが生み出された

お片付けのメソッドです。

 

 

こんまりメソッドの流れ

では、こんまりメソッドはどういうものなのか?

テレビで理解した流れとしては、

  1. 衣類
  2. 書類
  3. 小物類
  4. 思い出の品

という順に片付けを進めていくそうです。

 

そして片付ける際には、

捨てる物を選ぶのではなく、

残すものを選ぶというのです。

 

そして、残す基準としては、

手にとって触れて、

「ときめき」を感じる物を残すそうです。

 

この手にとって触れて、

「ときめき」を感じる物を残すという作業

これが自分の内で生じる感覚を味わう練習となるメインです。

 

ぜひ一度、自分でもその感覚を味わいながら、

お片付けに取り組んでみてください。  

そして、終わってから自分の中にどんな感じが生じているか、

それを改めて味わってみてください

なんとなくいい気分になっているのではないでしょうか?

 

自分の中を感じることの「自分を大切にする」効果

ここからは、

なぜ自分の内に生じる感覚を味わう作業が自分を大切にする練習になるのか、

ということについて、心理療法の視点から解説します。

 

この「ときめき」を感じる作業は

フォーカシングと呼ばれる心理療法で行っていることと

非常に似ているのです。

 

フォーカシングとは?

アメリカの哲学者・心理学者である

ユージン・ジェンドリンが開発した心理療法です。

日本フォーカシング協会の解説では、

フォーカシング(Focusing) は、静かに、心に感じられた「実感」に触れ、そこから意味を見いだす方法です。シカゴ大学教授ユージン・ジェンドリン(Eugene Gendlin)の心理療法の研究によって生み出されたこの方法は、心理療法や自己理解、夢理解の方法として米国をはじめ、ヨーロッパほぼ全域に普及しています。 

といった解説がなされています。

 

これだけでは、何をするのかは分からないですので、

もう少し詳しく解説していきましょう。

 

フォーカシング自体は

カウンセリングが成功する要因は何かという

カール・ロジャーズとジェンドリンの共同研究がきっかけで始まりました。

 

その中で、カウンセリングが効果を発揮した事例では、

クライエントが自分自身の内的な感覚に触れ、

新たな意味を見つけられたことに治療効果があったという結論が出ました。

 

内的な感覚?新たな意味?

これでもまだよくわかりませんね。

 

日常場面でのフォーカシング 

例えば、こんなシチュエーションから考えてみましょう。

 

友人に会って「元気?」と尋ねられました。

あなたは「まぁまぁ元気」と答える。 

 

これはしばしばあることですね。

 

この答えの「まぁまぁ」が非常に重要なのです。

まぁまぁと答える過程では、

人は自分の中に「今、元気なのかな?」「どんな感じなのかな?」と

問いかけをしているわけです。

ここで100%元気なわけでない、

何か元気じゃなくなっている何かがあるということが感じられたため、

「まぁまぁ元気」という答えが出てきているのです。

 

このなにか元気じゃない感じというのが、

内的な感覚といわれるものです。

この感じは胸のあたりのモヤモヤとして感じることもありますし、

体の痛みとなっていることもあります。

 

この身体で感じられた感じはフェルトセンスと呼ばれ、

無意識ではなんとなく分かっているのに

言葉にはなりきっていないものだと言われます。

 

そこで、フォーカシングにおいては、

その内的な感覚(フェルトセンス)を丁寧に味わうことを行っていきます

そうしていくと、

自分でなんとなく感じていたけど、

言葉になっていなかった、

先程の例で言う「まぁまぁ」の中身に気づいていくことが出来るのです。

そこで気づいていくものが新たな意味といわれるものです。

 

そういった新たな意味に気づくと、

自分の本当にやりたかったことに気づいたり、

迷っていたことの答えが見つかったり、

変化が生じていくのです。

 

この作業は頭で考えるというよりも、

自分の身体に問いかけ、

その感覚を感じることで進んでいきます

そういった体験を積み重ねる中で、

自分の内に生じた感覚を味わい、

大切にする態度が育っていきます。

 

そして、その態度が身についてくると、

思い通りにいかないときでも、

その自分の中で生じた感覚を抑えたり、感じなくするのではなく、

その感覚を大事にしながらも折り合いをつけ、

生きていけるようになっていきます。

それが自分自身を大切にして生きることへと繋がっていくのです。

 

フォーカシングとこんまりメソッド

こんまりメソッドで行っていることはなんなのか。

「ときめき」を感じるという作業は、

フェルトセンスを感じる手続きと同様の効果があると思われます。

 

部屋にある物に対して、

感じているけど言葉になっていなかった部分を

手にとって触れて味わい直す。

その中で、自分の中で色々な言葉になっていなかった感覚が生じる。

生じる感覚の一つが「ときめき」なのでしょう。

 

「ときめき」はなかったとしても、

作業の中では色々な言葉になっていなかった感覚が生じるはずです。

そして、それをしっかりと味わうことが、

フォーカシングと同様に、

自分の中で感じていることに気づく練習となっているわけです。 

感覚に気づくことが自分を大切にする第一歩

人間にとっての羅針盤である感覚

私はフォーカシングを習った時に、

「これは本来、人間誰しもが自然にやっていたことなのでは?」

と感じました。

 

そう遠くない昔には、

おそらく人は周りの物に対して、

自分の中の感覚を確かめて、

その感覚に従って生活をしていたはずです。

 

しかし、現代社会はどんどん高速化し、

そういった感覚を丁寧に味わう余裕が失われています

 

朝はバタバタと家事をして仕事に向かい、

忙しく仕事をして帰ると、

また食事や家事、少しの余暇を取ると

もう寝る時間。

毎日、何かを選ぶときは

効率や値段だけが基準。

そんな暮らしになっていませんか?

 

そんな中で、

自分が今何をしたいのか、

何が欲しいのか、何が大事なのか、

そういった感覚がどんどんわからなくなっていくのです。

 

これは以前書いた、「気持ちいい」が分からないとも関係してきます。

 

www.karadamental-brog.com

 

最初にも述べた通り、 

身体で感じている感覚は本来、

その人が生きていく上で羅針盤となるものです。

 

羅針盤なしで航海を続けようとすると、

多くのトラブルに巻き込まれてしまうことは必然です。

更にもったいないことは持っているのに使えなくなってしまうことです。

 

日々の暮らしの中で 

お片付けを通して、フォーカシングを通して、

日々の暮らしの中で、

少し自分の内にある感覚を丁寧に味わう時間を取ってみる

それを積み重ねていくと、

だんだんと以前よりも

自分の内に生じた感覚をはっきり味わえる自分に気づくはずです。

 

それに気づけた時、

少しずつ周りからの見られ方も、

周りへの自分の関わり方も変わっているかもしれません。 

 

「自分を大切にして」と言われても、

何をしていいかわからない。という人は、

 

まずお片付けをしながら「ときめき」を感じてみましょう。

あるいは、

自分の内側に「今、どんな感じ?」と問いかけてみてください。

 

 

フォーカシングについてもっと知りたいと思われた方は、

まず、以下の二冊は物語や漫画の形式で

フォーカシングを学べてわかりやすいです。

 

 

 

こんまりメソッドの本はこちら